2018-07-16

色の能力




「いい絵やいいカラーリングは、おいしい料理にたとえることができる。いかにレシピに従ってつくっても、調理中に繰返し味見することが必要である。そして最高の味見は、依然として「肥えた舌」次第なのだ」
---ジョセフ・アルバース


長年制作をしてきて感じるのは、色を読み取れる目のレベルは、大きく分けて三段階あると思う。
音楽に例えると非常にわかりやすいので、色感の話と音感の話を並列して私の色に対する勝手な実感を話してみたい。



レベル1
色弱・色盲ではないレベル

→ドレミファの音階全てが問題なく多くの人と同じように聞こえる。
(色盲、色弱といわれる話は、あくまでドレミファのファだけ聞こえないとか、聞こえづらいとか、そういうレベルの話だ。)


レベル2
ある特定の色を見たときに、その色の色味も含めて正確に読み取ることができるレベル(印刷や画像で確認できる色の見え方)

→絶対音感を持っている(デジタル音源で聞いても確認できるレベル。ある音を聞いて、音階で正確に捉えることができるレベル)


レベル3
ある絵画作品などを、目の前にした時に、絵具の質や筆触、他の色との関係も含めた立体的な色を感じることができるレベル。(同じ色味でも、色の空間性を感じることができるレベル)

→クラシックコンサートなどで、生の楽器を鳴らした時の音階だけでなく、立体的な音の差、楽器による響きの差や演奏空間、曲の流れによる立体的な音の差を感じることができるレベル。




個人的には、レベル3の色能力を鍛えることが、絵画の制作にとっては、非常に重要なことだと思っている。作品を見る目を鍛えることは技術より大切なことだと私は感じている。

レオナルド・ダ・ヴィンチはかつて、
「作品を見る目と自らの作品のレベルが等しい画家は不憫である。逆に見る目はあるが、作品が追いついていない画家は幸せだ。見る目のある画家はいつか優秀な画家になる。」と語っているが、私もそう思う。


いまの私は体調によって色の感覚が研ぎ澄まされたり鈍くなったりする。
ましてや、夜になると能力が半減して見えなくなるのを実感している。まだまだ足りない。
更なる目が欲しい。